Ici et ailleurs カメルーン滞在記🇨🇲

2018年6月から2年間、青年海外協力隊のコミュニティ開発隊員として、母子保健分野でのボランティア活動に従事します。

世界エイズデー

12月1日の世界エイズデーに合わせて、中高生に向けて啓発活動を実施しました。

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2018年のUNAIDSの統計結果によると、世界でHIVと共に生きている人は3790万人、そのうち抗レトロウイルス療法を受けている人は2330万人で、新規のHIV感染者は170万人、エイズ関連の死者は77万人います。

 

カメルーンに関しては、HIVと共に生きている人は54万人(全人口比約2.3%)、そのうち抗レトロウイルス療法を受けている人は28万人いて、新規のHIV感染者は2万3千人、エイズ関連の死者は1万8千人です。

 

世界全体、カメルーンも含めて、HIV感染者は年々減少していますが、それでもまだこれだけ多くの人々がHIVと闘っています。

 

 

啓発活動を実施しようと考えた理由は、まずエデア保健地域のHIV感染者が多いこと。

昨年の統計で、エデア保健地区でHIVと共に生きている人は4.55%で、全人口約13万人のうち6千人を占めます。

この数値は他の地域と比べて高く、その原因ははっきりとは分かりませんが、経済都市ドゥアラに近く周辺に様々なプランテーションなどがあることから人々の流動性が高いこと、HIV検査の普及が進まないことや医療サービスの問題、人々の無理解などが考えられます。

次に、HIVエイズに対する正しい知識と、社会的な側面から病気に対する理解を普及させたいと思ったこと。

配属先でもNGOなどと協力してHIVに対する取り組みを行っていますが、検査の普及率を高めることのみ注力しているため、病気に対する啓発や理解促進に関する活動も実施したいと考えました。

 

 

啓発活動は、市中心部にある中・高等学校の2校で実施。

カメルーンでは中学校と高校の区分はなく、中等学校として統合されています。

 

最初は基礎知識のパート。HIVエイズの違いは何か、感染経路は何か、どのように感染を防ぐかなどについて説明を行いました。

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次にクイズのパート。これは感染するorしない?ということで、食事を一緒にすること、トイレを共同で使うこと、握手すること、蚊に刺されることで感染する?母子感染は避けられる?などのクイズを出題しました。

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最後に、この啓発活動を通じて一番伝えたかったメッセージとして、

「今日では、たとえエイズに感染しても、正しい治療の下で健康に生きることができます。それでもエイズと共に生きている人たちは誰かの支えや助けを必要としています。私たちがエイズに感染した人々と共に生きていける社会を築けることを願います」と話しました。

 

このように難しいテーマを、朝礼の短い時間の中で大勢の生徒たちを相手に伝えるには不十分で反省する点も多くありましたが、啓発活動終了後に同僚に「キスをしたり、抱き合っても大丈夫?」などと質問にきた生徒たちを見て、わずかながらもHIVエイズについて知るきっかけになれたことが分かり、啓発活動を実施して良かったと思えました。

 

また、世界手洗いの日に引き続き協力してくれた配属先の同僚二人にはとても感謝。特にカウンターパートのElecthaはまだ生後6か月の娘を背負いながら啓発活動を一緒に行ってくれました。本当にありがとう!

 

HIVエイズに対する予防や支援、理解促進にはまだまだ継続的な取り組みが必要ですが、今回の活動の準備を通じてそうした取り組みを担う学校の保健クラブの生徒たちやNGOのアクターたちと出会いました。

 

地域の人たちみんなが協力して、一人一人が自分の役割を果たすことで、より良い社会が築けますように。

 

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