Ici et ailleurs カメルーン滞在記🇨🇲

2018年6月から2年間、青年海外協力隊のコミュニティ開発隊員として、母子保健分野でのボランティア活動に従事します。

セーファーフランの呪縛

カメルーンでは、CFA(セーファー)フランという通貨が使われています。

 

通貨の価値は日本円の5分の1程度で、物価も安いです。

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日々の買い物では、汚くてボロボロの紙幣と、小銭不足が悩みの種。

 

人々の買い物は市場を中心に行われるため、お金が汚れます。また、カメルーン人は財布を使わず、お金をくしゃくしゃに丸めてポケットやバッグの中に入れるから、紙幣がボロボロ。

僕もいつの間にかその習慣が身につきましたが、紙くずだと思って捨てたポケットのゴミが紙幣だったことに気づき、後から慌ててゴミ箱を漁ったことが何度かあります。笑

 

さらに、ほとんどのお店で小銭が不足しています。小銭のお釣りがないときは、帳尻合わせにレジの横にあるお菓子を勝手に買わされます。笑

 

 

このCFAフランですが、多くのアフリカの人々に"Françafrique"(フランサフリック)の象徴の一つとみなされています。

 

Françafriqueとは、フランスとサハラ以南アフリカの旧植民地国(広義には仏語圏アフリカ全体を含む)との特別な関係を揶揄的、もしくは軽蔑的なニュアンスで表現した言葉です。

 

CFAフランが、Françafriqueの象徴の一つとみなされる理由について、その歴史と背景について説明します。

 

CFAフランの歴史と背景

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現在、この通貨は14か国で使用されています。

 

西アフリカ諸国中央銀行(Banque Centrale des États de l'Afrique de l'Ouest, BCEAO)発行のもの、中部アフリカ諸国銀行(Banque des États de l'Afrique Centrale, BEAC)発行のものと2種類あり、通貨としての価値は同じですが、それぞれの地域でしか使用できません。

 

1945年に通貨が創設されました。当初、このCFAは"Colonies Françaises d'Afrique"の略で、「フランス領アフリカのフラン」を意味しました。

現在は、西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)のCFAフランが"Communauté Financière Africaine"(アフリカ金融共同体)の略、中部アフリカ経済通貨共同体(CEMAC)のCFAフランが"Coopération Financière en Afrique centrale"(中部アフリカ金融協力体)の略を意味します。

 

通貨制度はユーロとの固定相場制が採用されていて、1ユーロ=655.957CFAフランです。

 

紙幣の印刷は、フランス銀行(フランスの中央銀行)によって、フランスで行われています。

 

そして、外貨準備高の50%をフランスの国庫に預けなければならないという規定があります。

 

このように、CFAフランは象徴的にだけでなく制度的にもフランスの植民地支配の負の遺産としての側面をもっています。

 

共通通貨ECO(エコ)の導入に向けて

2019年の12月に、コートジボワールの首都アビジャンを訪問中のフランスのマクロン大統領とコートジボワールのワタラ大統領の共同記者会見で、西アフリカ経済通貨同盟のCFAフランの廃止と、新共通通貨"ECO"の導入が正式に発表されました。

これは、6月の西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の首脳会議での採択に続くものです。

 

この共通通貨は、西アフリカ経済通貨同盟を含む西アフリカ諸国経済共同体の15か国での導入を目指します。*2020年1月に、西アフリカ通貨圏の6か国が導入を見送り。

カメルーンが加盟する中部アフリカ経済通貨共同体は、今回のECOの導入に含まれていません。

 

ECOでは、インフレリスクを回避するため従来のユーロとの固定相場制は維持されますが、外貨準備高の50%をフランスの国庫に預ける条項は撤廃される予定です。

 

しかし、ECOの導入が上手く実現するか、なによりもアフリカの経済発展に貢献することができるのか、まだまだ課題は山積みです。

 

 

課題はあるけれど、アフリカの人々が自らの意志で行動すれば、そこに希望はあるはず。

 

彼らが目指す社会経済の発展と、人々のより良い暮らしに、僕も少しでも貢献できるようにがんばります!