Ici et ailleurs カメルーン滞在記🇨🇲

2018年6月から2年間、青年海外協力隊のコミュニティ開発隊員として、母子保健分野でのボランティア活動に従事します。

1年の振り返り

ちょうど昨年の今頃は任地に配属されて、カメルーンでの新しい生活に、少し緊張はしながらも大きな期待を抱いていたのを思い出します。

 

この1年を振り返ると、幸運なことに大きな困難やトラブルもなく、楽しく順調に活動ができたと思います。

 

仕事では、真面目で仕事熱心な配属先の同僚たちに恵まれました。自分の活動を自由にやらせてもらえて、必要な時には手助けしてくれる。

彼らがしっかり働いているのが理解できたから、日本のやり方を押し付けようとせず、彼らのやり方に合わせることができました。

 

生活では、食材が豊かで料理は美味しい。停電や断水は長くても2、3日で、慣れれば備え方も身について上手く対応できるようになりました。

 

このように現地での生活に順応できたのは、僕自身が身体的にも精神的にも丈夫だということもありますが、何よりも自分がアフリカに来たくて、好きでここにいることが大きい。

 

日本から遠く離れて、文化も慣習もよく伝わっていない国々に暮らす人々の姿が見たかった。だから、程度の差こそあれ現地の人たちと同じように暮らし、彼らのことを少しずつ理解していく現在の日々は、とても充実しています。

 

いわゆる発展途上国に暮らす人々は、貧しくて日々の生活に苦しみ、自分たちの国を、生活を、豊かにする方法を知らず、一言で言えば「弱い存在」なのか?と問われれば、僕は違うと言いたい。

 

たしかに欲しいものが何でも手に入る便利な環境ではないし、十分な収入がなく日々暮らしていくのが精一杯の人たちはいます。

でも、お金がなく日々の生活が大変だからといって、彼らを弱者として、かわいそうな弱い存在として見做したくない。

また、彼ら自身もお金がないからといって、毎日が暗く悲しいものかといえばそうではなく、ちゃんと一生懸命、前向きに暮らしています。

 

いろんなものが不足するなら不足するなりに、現地の人々には互いに助け合ったり、自分たちで生活を工夫したりして生きていくだけのバイタリティーがあります。

 

 

あり合わせのものを組み合わせて目的や用途に応じたものを生み出す現地の人々の知恵は、フランスの人類学者クロード・レヴィ=ストロースが提唱した、古くから人類が普遍的に持っている「野生の思考」と呼ばれる知のあり方、ブリコラージュに例えられる思考の方法そのもの。

 

ブリコラージュ(Bricolage)とは、フランス語で器用仕事と訳される言葉で、理論や設計図に基づいてものを作る設計とは対照的に、その場で手に入るものを寄せ集め、それらを部品として、新しいものを作ること。

 

廃タイヤを遊び道具にしている子供たち、空になったペットボトルやビンを活用する物売りたち、海外から輸入される使い古されたモノを自分たちなりに活用している人々を見ていると、そうした精神を強く感じます。

 

彼らには彼らの作り上げた世界があり、進歩や発展の度合いで優劣はつけられません。

 

 

現地での活動は、何か明確な問題があってその原因を解決すれば状況が改善される、つまり、こうしたらこうなる、というようにはいかない。

 

僕が取り組んでいる母子手帳の普及や健康に関する啓発活動も、それが現地の人々にどんな効果や結果をもたらすかはわからない。

 

それでも、自然を相手にするように、いつ芽がでるか、どのように育つかはわからないけれど、種を蒔いて、テマヒマかけて、何かが上手く育ってくれることを信じてやってみる。

 

ボランティアにできることは限りがあるけれど、現地の人々と同じような暮らしをして、住民の人たちと直接に関わりながらの活動はボランティアにしか味わえません。

 

この先自分にこういう活動ができる機会があるかは分からないので、今の貴重な時間を大切に、残りの1年弱も健康と安全に気をつけて、活動を全うしたいです!